----------ジャンル----------
プログレ----------テイスト----------
シンフォニック----------年 代----------
1960年代----------地 域----------
イギリス-----ジャケットアート-----
ヒプノシスMOON SAFARI / The Gettysburg Address 2012 SWEDEN
スウェーデンのポップなプログレッシブ・ロックバンド MOON SAFARIのライブ盤 The Gettysburg Addressのレビュー。
DISC.1
1. Moonwalk
2. Lovers End Pt.1
3. A Kid Called Panic
4.Yasgurs Farm
5. The Worlds Best Dreamers
6. Dance Across The Ocean
DISC.2
7. Heartland
8. New York City Summergirl
9. Other Half Of The Sky
10. Doorway
2011年5月20日Rosfestでの模様を収録したCD2枚組。
ブレイクした3rdアルバムを中心に1st,2ndからも選曲され、現時点でのベスト・アルバム的なラインナップ。
MOON SAFARIについてはオフィシャルサイトも(2012年2月現在は)適当な感じでなかなか情報が入ってこないため、スタジオ・プロジェクトのような印象を持っていましたが、そこそこライブ活動も行っているようで、収録されている演奏もコーラス・ワークから伸びやかなボーカル、複雑なアンサンブルも完璧!
特にスタジオ盤ではシンセとユニゾンでメインのメロディを奏でる場面の多いギターが、ミックスの関係で良く聴こえ、想像以上に随所でキーボード的なパッセージを弾いている事が判明。サーカスのようなテクニックを使う訳では無いですが、相当大変ですよこれは。
また、改めて感じたのが、MOON SAFARIが使用している楽器音の種類が意外な程少ないと言うこと。
素晴らしいメロディとアレンジに耳を奪われてカラフルな印象を持ってましたが、エレキ、アコギ、ピアノ、アナログ風単音シンセ、メロトロン、オルガン、ベース、ドラム、とシンプルなものばかり。まぁ勿論、メロトロンやシンセ系はライブではMIDIのサンプル音源使用でしょうが。
これでここまでバラエティに富んだ楽曲を構築できるとは驚きです。
まさにライブを見据えたかのような楽器構成なので本作でも再現性はバッチリ。個人的に21世紀のNo.1キャッチー&プログレ・チューンと感じている#7で聴かせる一糸乱れぬ完璧なアンサンブルには惚れ惚れしますね。且つ、キャッチーにまとめるセンス・・・・。
素晴らしすぎます。
今後も今まで同様の楽器構成で行くのか、それとも新機軸を打ち出してくるのか?
4thアルバムが待ち遠しいです。
タグリスト: プログレ 北欧 2000年代 シンフォニック メロトロン 変拍子
THE TANGENT / Down and Out in Paris and London 2009 UK
英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの5thアルバムDown and Out in Paris and Londonのレビュー。
アンディ・ティリソン(Kye/Vo)、テオ・トラヴィス(Sax/Fl)、ガイ・マニング(G)以外のメンバーは相変わらず落ち着かず、リズム隊の入れ替えで全員が英国人となった。
1. Where Are They Now?
2. Paroxetine
3. Perdu Dans Paris
4. The Company Car
5. Everyman's Forgotten Monday
6. Canterbury Sequence Volume 2. Ethanol Hat Nail
ギターの叙情的なメロディにシンセやサックス、フルートが絡み、ミニマルなオルガンフレーズに至る濃厚なイントロを持つ#1。カンタベリー風なインストパートやテオ・トラヴィスのマイルドなプレイが耳を捕らえて離さない、洒落たAORタッチのプログレ・チューン。
ジャジィなボーカル・パートを中心としつつ、鮮烈なシンセがフックとなった#2。
テーマ・メロディのリフレインとソロによる躍動感あるインスト・パートを内包した、ゆったりとレイドバックした#3。
マイルドなボーカル・パート、若干ヘヴィなパート、唸るシンセと滴るメロトロンの5拍子のインスト・パート、と意表を衝く展開を見せる#4。
叙情的なボーカル・チューン#5。
NATIONAL HEALTHのThe Collapsoを想起させる食器を落とした効果音にニヤリとさせられる#6。オルガンやエレピで繰り返されるミニマルなリフレイン、軽快なリズム、まろやかなシンセ、等々カンタベリーのオマージュで構成。
大人な落ち着きが全編を覆う少々地味な印象の中、カンタベリーとシンフォニック・プログレを融合させた独自路線が深化した佳作。
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タグリスト: プログレ イギリス 2000年代 シンフォニック
DREAM THEATER / Black Clouds & Silver Linings 2009 USA
プログレッシブ・メタルの大御所DREAM THEATERの10thアルバム Black Clouds & Silver Liningsのレビュー。
1. A Nightmare to Remember
2. A Rite of Passage
3. Wither
4. The Shattered Fortress
5. The Best of Times
6. The Count of Tuscany
商売上手なRoadrunner移籍第2弾。
何とビルボードのアルバム・チャート6位に!市場全体のアルバム・セールスが不振の中、アルバム・オリエンテッドなファンがこぞって購入した結果というのが背景にあるとは思うが、びっくり。
長尺4曲を含む6曲構成で全体的に非常にメロディアスな印象。
短い#2,#3ではキャッチーなDREAM THEATERらしさをコンパクトな楽曲にまとめるとともに、その他の大作ではそれぞれ違った個性でDREAM THEATERのプログレッシブ面を表現。
特にアルバム終盤。ジョン・ペトルーシ(G)のエモーショナルなフレーズが感動を呼ぶ、マイク・ポートノイ(Dr)が亡き父への想いを込めたスケールの大きな#5、ギターやポルタメントの効いたシンセのアルペジオを中心にプログレッシブに畳み掛ける序盤のインストパート、カッコ良い4拍子+5拍子による疾走パターンとヘヴィネス・パターンの対比でアレンジの冴えを見せるヴォーカルパートを持つ#6。
この2曲は強力。とりわけ、メロディ・緊張感・プログレッシブな展開・メタル的なカタルシスを兼ね備えた#6は新たなマイ・アンセムになろうかという出来。
アルバム全体としては、前作Systematic Chaosの煮詰まり感を払拭した開放的でポジティブな雰囲気で、名作Images and WordsやOctavariumのフレーバーも。
タグリスト: 2000年代 アメリカ プログレッシブ・メタル 変拍子
THE GATHERING / The West Pole 2009 Netherlands
1.When Trust Becomes Sound
2.Treasure
3.All You Are
4.The West Pole
5.No Bird Call
6.Capital Of Nowhere
7.You Promised Me A Symphony
8.Pale Traces
9.No One Spoke
10.Constant Run
オランダのオルタナティブ/アンビエント・バンドTHE GATHERINGの9thアルバムThe West Pole。
2007年に歌姫アネク・ヴァン・ガースヴァーゲンの脱退がアナウンスされた時は正直GATHERINGも終わったと思ったが、やってくれました。ノルウェー人の女性ヴォーカリストSilje Wergelandが新加入。デス・メタル~ゴシック・メタル~エレクトロニカと変遷し、オーガニックで普遍的なロックに辿り着いたアネク在籍ラスト作となった前作Home の音楽性そのままに、アネク同様にクリア且つ滑らかに歌いこなす力量で不安を一掃。素晴らしい出来映えとなりました。ゲストで#6にオランダのフォーク・シンガーAnne van den Hoogen嬢が天使のような歌声を、#8ではオランダのゴシック・メタルバンドSTREAM OF PASSIONのシンガーMarcela Bovio嬢が負けじと透明感ある伸びやかな歌唱を聴かせています。これらゲスト陣の参加が、アルバムのアクセントともなっています。特に#6は、ダブル・トラッキングされたウィスパー気味のヴォーカルが時にユニゾンで浮遊感を、そして時にハーモニーで美しく迫る英国トラッド風な新機軸で、個人的に今年のエンジェリック女性ヴォーカルNo.1ですね。
アルバム全体としては、ライブ A Noise Severe で示したようにGATHERINGがもはや所謂ゴシック・メタルでないのは明白ながら、メタル期に示していた独特の寂寥感が、ツーバス連打やディストーション・ギターというヘヴィな装飾が無くなって逆に露になっただけで芯は変わっていないという印象そのままのサウンドで今作も貫かれています。Homeでも感じましたが、又ハード・ロックに戻ってきているような感触もうれしいです。
タグリスト: ハード・ロック 女性ボーカル ヘヴィ・メタル ヨーロッパ 2000年代
ANEKDOTEN / A Time of Day 2007 SWEDEN
1. The Great Unknown
2. 30 Pieces
3. King Oblivion
4. A Sky About to Rain
5. Every Step I Take
6. Stardust And Sand
7. In For A Ride
8. Prince of the Ocean
スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドANEKDOTENの5thアルバムA Time of Day。
従来の引き摺るような重金属的ヘヴィネスと比べると若干質感を変えた埃っぽいネバリを感じさせるギター・リフのオーガニックなグルーヴに、メロトロンが絡みつくアップテンポ・ナンバー#1。
サイケなテイストのオルガンがクールに展開する#2。終盤のピアノとメロトロンをバックにした寂寥感たっぷりなフルートのソロが最高。
ルート音の動きが少ないベース・ラインとギターのアルペジオ・パターンで淡々と進行する#3。
ダークな中にも仄かな暖かさを感じさせる歌モノ#4。曇天を思わせるメロトロンは勿論、スペイシーなモーグ・シンセのソロも印象的です。
#4から繋がったインストゥルメンタル・ナンバー#5。ヴィブラフォンが寂寥感を醸し出しています。
アコギのアルペジオをバックにしたフォークな序盤から、メロトロンとARPシンセのスペイシーなインスト・パート、男女ユニゾン・ボーカルの妖しいパートと展開していく静寂の#6。
一転して古びたオルガンとメロトロンのイントロ・リフがリードする軽快なテンポの#7。
再び男女ユニゾン・ボーカルで妖しくも淡々と進行しつつも、ダークな中に一筋の光明を見出してエンディングを迎える#8。
#1,#7のような攻撃的な楽曲を含みつつも、よりリラックスした曲調が大半を占める作風となりました。
代名詞のようなメロトロンももはや飛び道具では無く、ギターやベース、オルガンなど他のパートや他の鍵盤楽器とオーガニックに絡むことで、即効性の有るあからさまな泣きよりもむしろ心の深い部分に突き刺さる訴求力を発揮。バンドとしての成長が感じられます。
DREAM THEATER / Systematic Chaos 2007 USA
DREAM THEATERの9thアルバムSystematic Chaosのレビュー。
1. In The Presence of Enemies Pt.1
2. Forsaken
3. Constant Motion
4. The Dark Eternal Night
5. Repentance
6. Prophets Of War
7. The Ministry of Lost Souls
8. In The Presence of Enemies Pt.2
アルバム冒頭とラストにPART1とPART2の楽曲を配すると言うKING CRIMSONのような構成の#1。まずはテーマを提示という感じで特にクライマックスは無し。
メランコリックでキャッチーなメロディとヘヴィネスが理想的に融合した#2。
仕事中毒で音数の多い自分達自身を表現したかのようなタイトルの#3。
入り組んだ音使いのリフをベースにラップ調のボーカルを配した#4。インスト・パートはアヴァンギャルドな要素も含めて多様に展開。ジョン・ミュング(B)のパーカッシブなベースがアクセントになっています。
「アルコール依存症を克服する12ステップ」シリーズの8,9ステップとなる#5は、これまでと違って落ち着いたより内省的なムード。
シンセのシーケンス・パターンに乗せた、調子の悪いQUEENのようなコーラス・パートを含んだ#6。
イントロではっきりとしたテーマ・メロディを提示し、アコギのアルペジオから静かに展開していく15分近いエピック・チューン#7。予想通りサビで盛り上がるもののメロディが弱いのが難点。今イチ突き抜けた感が足りないんですよね。インスト・パートのクオリティは高く、スリリングなシンセとギターのソロ及びハーモニーが聴ける。
思索パートから始まる#1の続きである#8。疾走する和風音階のようなリフはなかなか面白いものの、#1のインパクトが弱かっただけに、あえて分断して配置した意図が成功しているとは思えない。
アトランティックからロードランナーに移籍した第一弾。ここ数作は綿密な計算の元、明確なテーマを持つ作品が続いたが、本作はテーマが無いのがテーマのような、とにかく心機一転、思いついたものをそのまま楽曲にしたかのような作風となっている。その結果、随所にDREAM THEATERらしさを感じられる反面、新鮮な驚きに欠けるきらいも。妙なラップや変てこなコーラスが耳に残るようではね・・・・・。前作ではキレ捲くっていたジョーダン・ルーデス(Key)の存在感が薄いのも残念。
自らの音楽性を見事に表現したタイトルが秀逸なだけに惜しい。
タグリスト: プログレ ヘヴィ・メタル プログレッシブ・メタル アメリカ 2000年代