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OPETHのレビュー

OPETH / Damnation

OPETH / Damnation 2003 SWEDEN
OPETH / Damnation1. Windowpane
2. In My Time of Need
3. Death Whispered a Lullaby
4. Closure
5. Hope Leaves
6. To Rid the Disease
7. Ending Credits
8. Weakness


ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)率いるスウェーデンのプログレッシブ・デス・メタル・バンドOPETHの7thアルバムDamnation。
グロウル/デス・ヴォイス、ディストーション・ギター、ツーバス連打、といったヘヴィ・メタリックな要素を一切排し、OPETHの楽曲のそこかしこに散在するメロウな要素にフォーカス。いつも通りでヘヴィな前作Deliveranceと対になった作品。PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンが、引き続きプロデュース及びピアノ/エレピ/メロトロンといった鍵盤関係とバッキング・ボーカルでも貢献しております。

6/8拍子から4/4拍子への自然な変化で緩急を無理無く表現した#1。ミカエル曰く「色々とパクった(笑)」という中期KING CRIMSON風暗黒不条理リフレインから一転しての、むせび泣くギター・ソロへの展開が秀逸です。っていうか、もう反則。
イコライジングを施したようなダークで無機的な序盤から、メロトロンの洪水と共にエモーショナルにクサメロを歌い上げるサビに展開する#2。
ミステリアスなムードの#3。
奇妙な音使いのアコギによるカッティングとエレキによる単音リフ、パーカッションをバックに繰り広げられるエキゾチックかつ悪夢のようなパートがLED ZEPPELINのFriendsを想起させる#4。
不安感を煽りつつも何故か心地良い#4終盤の悪夢パートが急に途切れてクリーンなアルペジオが登場するメロウな#5、とドラマティックなアルバム構成にもぬかり無し。
メロトロンの幽玄な響きにミカエルのクリーン・ヴォイスが溶け込む暗鬱メロウ・チューン#6。
どことなく演歌っぽい(?)泣きメロを、マイルドなトーンのエレキで奏でるインストゥルメンタル#7。
スティーヴン・ウィルソンからの薫陶が明らかな、モジュレーションを掛けたエレピがミステリアスでトリップ感を誘う静謐な#8。

ある種の制約の中でどこまでOPETHらしい起伏ある楽曲展開が表現できるか、という凡人の杞憂を軽く吹き飛ばすがごとくミカエルの才能とセンスが爆発。いつもながら感心してしまう、ミカエルのクリーン・ヴォイスによる素晴らしい歌唱と歌心溢れるギター・ソロも大いに堪能できます。
素敵なジャケット・アートは勿論トラヴィス・スミス。


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タグリスト: メロトロン  ヘヴィ・メタル  北欧  2000年代  変拍子 

 

投稿者: 2010-10-06-Wed

OPETH / Ghost Reveries

OPETH / Ghost Reveries 2005 SWEDEN
OPETH / Ghost Reveries1. Ghost of perdition
2. The baying of the hounds
3. Beneath the mire
4. Atonement
5. Reverie/Harlequin forest
6. Hours of wealth
7. The grand conjuration
8. Isolation years



スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドOPETHの8thアルバムGhost Reveries。

入り組んだ音使いのブルータルなヘヴィ・リフと咆哮するデス・ヴォイス、アコギとクリーン・ヴォイスによる深遠なパートが絶妙に融合した、個人的に2000年代ベスト・チューンに挙げたい#1。中間部及びクライマックス部における歌心あるギター・ソロも最高。高速ツーバスがもたらす緊張感やメロトロンによる叙情、変拍子にテンポチェンジなど、各種パーツが必然性を持って存在。10分超があっという間に過ぎていく、パーフェクトな名曲です。
正式加入したペル・ヴィヴァリ(Key)のハモンドがうねる#2。得意の3連に乗せてのトリッキーなリズムや70年代風アレンジが秀逸。
メロトロンによる無国籍風なメロディと独特の空間処理で神秘的なムードに仕上がった#3。
モーダルなメロディのリフレインとパーカッションがサイケな浮遊感をもたらしている#4。
ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)がクリーン・ヴォイスをメインに歌うプログレッシブな70年代風ハード・ロック#5。トレモロを掛けたエレピ、メロディアスな泣きのツイン・リード・ギターによる場面転換も効いています。
クリーンなエレキ、アコギのアルペジオ、白玉メロトロンによる神秘的なインスト・パートから、叙情的なクリーン・ヴォイスの歌唱パートに移行するメロウな#6。
ギターのソリッドなリフを中心としながらも、歪んだハモンドやエレピ、メロトロンが効果的なフックとなっている#7。
メロウに締めくくる#8。

商売上手なROADRUNNERに移籍したことで、後にバージョン違いのスペシャル盤がリリースされたり、レーベルメイトとなったDREAM THEATERのツアーに同行するなど露出が増え、世界的なブレイクのきっかけとなった作品。
あえて極端にカラー分けしたDeliveranceとDamnationの制作によって整理されたのか、また場面に応じた鍵盤アレンジを持ち込んだペル・ヴィヴァリからのアウトプットが貢献したのか、持ち味の美醜の対比がより際立つようになりました。また、マニアックな70年代レコード・コレクターでもあるミカエルが、それらのコレクションからインスピレーションを得たであろう70年代ロックのヴァイブを巧く溶け込ませ、味わいに深みも加味されています。
ちょっと地味ですが、ジャケット・アートはお馴染みのトラヴィス・スミス。


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タグリスト: プログレ  プログレッシブ・メタル  ヘヴィ・メタル  メロトロン  北欧  2000年代 

 

投稿者: 2011-05-15-Sun

OPETH / Watershed

OPETH / Watershed 2008 SWEDEN
PAIN OF SALVATION / Road Salt One1. Coil
2. Heir Apparent
3. Lotus Eater
4. Burden
5. Porcelain Heart
6. Hessian Peel
7. Hex Omega



スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドOPETHの9thアルバムWatershed。

OPETHの魅力は何と言っても「ギャップ」につきます。
不条理暴虐リフと70年代サイケ&プログレッシブ風味の奇跡的な共存。
バンドの頭脳ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)によるデス声とクリーンなプログレ声。
そして予測不能な曲展開とふいに見せる叙情性。
これらに加え、前作から正式メンバーとなったペル・ヴィバリ(Key)によるメロトロン、ハモンド、エレピ、アコピ等様々な鍵盤によるセピアな彩りが、OPETHの孤高性をフォロワー達の追随を許さぬレヴェルにまで高めています。
実際、アルバム中盤に配されたハイライト曲である#3,#4,#5あたりでのキーボードの使用法は際立って個性的で、これらの曲を唯一無二の存在にしています。

勿論、ミカエルのソング・ライティングもキレキレです。
「今回もオープニングは3連系のメチャかっこ良いヤツだろう」との大方の予想を根底から覆す、OPETH風フォークな#1が意表を突きながらも、次に来るであろう怒涛の展開を逆に予想させ聴き手を身構えさせる絶好のウォームアップとなっている所が憎いですねー。
そして変態アグレッション&プログレな#3。これは誰にもマネできませんね。
続く暗黒叙情フォークの#4の奇妙なコード進行はALL ABOUT EVEのゴシックな名曲Decemberを彷彿させます。
それにしても、こういう曲でのミカエルのクリーン歌唱はホレボレしますねー。ジョン・ウェットンやグレッグ・レイク並みの艶ですよ。

前作Ghost Reveries収録のキラー・チューンGhost of Perdition、The Grand Conjuration程の即効性を持った曲は無いが、サウンドやバンドの格といった部分での広がりと奥行きを感じさせるアルバムです。

ところでこのWatershed、DVD(全7曲の5.1CHサラウンド・オーディオ・バージョン、リハーサル風景と曲解説&インタビュー映像、ボーナストラック3曲)付きのスペシャル版も出てます。
DVDのリハーサル風景では練習スタジオの高校生並みに5人が接近してプレイしてます。ミカエルの自宅スタジオでしょうか?
別のショットでは膨大なレコード・コレクションを収めた棚をバックにミカエルがインタビューに答えてます。
何が入っているのか?・・・非常に気になります。
それとメンバー中一番メタル野郎な風貌で、実際ライブでも大人しい他のメンバーを尻目に一人長髪を振り乱してヘッド・バンギングしていたベースのマルティン・メンデスが、その長髪をバッサリ!
サッカー浦和レッズの鈴木啓太のような短髪にしておりビックリだ。それでも中々似合ってます。
そしてキーボードブースでは俳優・小日向文世のような表情のペル・ヴィバリがサウンド全体を慈父のような眼差しで優しく包み込んでます。


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タグリスト: プログレ  ヘヴィ・メタル  メロトロン  2000年代  北欧 

 

投稿者: 2011-08-05-Fri

OPETH / Heritage

OPETH / Heritage 2011 SWEDENOPETH / Heritage
1. Heritage
2. The Devil's Orchard
3. I Feel The Dark
4. Slither
5. Nepenthe
6. Häxprocess
7. Famine
8. The Lines In My Hand
9. Folklore
10. Marrow Of The Earth



OPETHの10thアルバムHeritage。

リリース前の試聴会からの噂が、グロウル・ヴォイスやブルータルなリフが無いアルバムという事で密かに期待していたが、やってくれましたよミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)。
ミカエルが70年代ロックのコレクターであることは有名で、これまでのアルバムでも幽玄なアコギ・パートなどにヴィンテージ・ロックの薫りを漂わせてはいましたが、それをアルバム単位でやってしまったという感じ。
この路線、メロウかつ暗鬱なアルバムDamnationと似てはいますが、もっとバラエティに富んでいて躍動感もあるしロックしてもいる。何というか70年代ロック風なゴッタ煮感が良い。

メロウなピアノのソロ#1で静かに幕を開け、ガツーンと来るだろうなという予想通りの#2ではありますが、以前のような無慈悲で怜悧なリフでは無く、歪んだオルガンを絡めたオールド・スクールなテイスト。ギター・リフも相変わらず不条理系の奇妙な音使いですが、サウンドも今風なディストーションというよりはもっとウォームな感じ。幽玄パートやサイケ風なパートも絡めての起伏に富んだアレンジはさすがOPETH。
メロトロンの白玉とアコギをバックにミカエルの艶やかな美声が乗るメロウな序盤から、ヘヴィなパートを交えつつ神秘的なムードで展開する#3。
DEEP PURPLE風な#4は(多分)シングル・コイルの単音バッキングがまんまリッチー・ブラックモアな疾走チューン。OPETHらしい音使いのリフがアクセントになり、オールド・スクールな曲調に見事に融合しています。アコギ・パートに突入してそのままフェード・アウトする意外な展開はBLACK SABBATHのようでもあります。
マーティン・アクセンロット(Dr)のゴースト・ノートを活かしたグルーヴィなドラミング、ペル・ヴィヴァリ(Key)によるエレピのリフ、エキサイティングなフレドリック・オーケソン(G)のソロなど、ジャム的な要素をフィーチュアした不思議な浮遊感を持った#5。
静謐でメランコリックな序盤からメロトロンとアコギをバックに7拍子の歌唱パートに移行するプログレッシブ・フォーク#6。間を有効活用した枯れたギター・ソロも又絶品。現存するバンドでこのサウンドを出せるのはOPETHだけでしょう。
静かな序盤から独特の音使いによるリフを境にバンド・インする#7。妖しいパーカッションや吹き散らすフルートが70年代風暗黒ムードたっぷり。
マーティン・メンデス(B)のベースがリードする#8。メロトロンにフェンダー・ローズなどヴィンテージ・キーボード、テルミン風SEを要所に散りばめたコンパクトながら起伏あるナンバー。
OPETH風暗黒エレクトリック・フォークから、メロウなアコギ・パートを経て、抑えた泣きのギター・ソロで締める#9。
アコギのアルペジオをバックにしたマイルドなツイン・リードのハーモニーが美しい#10。

はっきり言って70年代風テイストはOPETHのオリジナルでは無いし、新鮮なアイディアというわけでも無い。
それでもこのアルバムが素晴らしいのは、そういった先人達のアイディアを吸収し我が物とした上でしっかりとOPETHの持ち味に融合させてしまっているところ。
特に、何でも詰め込み過ぎの昨今の音楽シーンにあって、「無音」を活かした音作りが巧み。
このあたりはミックスを担当したスティ-ヴン・ウィルソンからの影響かも。
ジャケット・アートはお馴染みのトラヴィス・スミス。サイケな色調が珍しいですね。右下の落ちかかった顔は本アルバムがラストとなるペル・ヴィヴァリでしょうか。ここ数作で良い仕事をしていただけに残念です。


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タグリスト: プログレ  ヘヴィ・メタル  2010年代  北欧  メロトロン 

 

投稿者: 2011-11-26-Sat

OPETH / Pale Communion

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドOPETHの11thアルバムPale Communion。


OPETH / Pale Communion 2014 SWEDEN
OPETH / Pale Communion1. Eternal Rains Will Come
2. Cusp of Eternity
3. Moon Above, Sun Below
4. Elysian Woes
5. Goblin
6. River
7. Voice of Treason
8. Faith in Others



単音リフやダーティな音色のバッキングを奏でるオルガン、静かなピアノ、エンディングを神々しく飾るメロトロンなど、キーボードが場面転換をリードするOPETHではこれまでに無いテイストのオープニング・ナンバー#1。
ペダルポイント風単音リフに無国籍エスニックなメロディのサビが印象的な#2。
ミステリアスなパート、幽玄アコギ・パートなど様々に展開、後半はOPETHらしい邪悪な音使いのリフと叙情メロディのサビを巧みに融合した10分超の#3。
冷気漂うメロトロンの白玉にゾクゾクするダークなフォーク・チューン#4。
パーカッシブなエレピやオルガンなどキーボードが活躍するグルーヴィなインストゥルメンタル#5。
爽やかなフォークから始まり、2人のギタリストのバトル~メロディアスなツインリード、ヘヴィなリフにメロトロンと要素が盛りだくさんの#6。
ミステリアスなストリングスのリフがリードする深遠パートとヘヴィなリフのパートの対比で聴かせる#7。
KING CRIMSONのStarlessを想起させる、悲哀感たっぷりのストリングスをバックにミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)のエモーショナルな歌唱が乗るドラマティックな叙情ナンバー#8。

デス・ヴォイスを一切排除して70年代王道ロックのテイストに接近した前作Heritageの路線を推し進め、より耽美でマニアックな領域に。
不条理・無慈悲なアグレッションから静謐・神秘的な側面までがこれまでのOPETHの幅広い音楽性だとすると、Pale Communionではレンジの幅はそのままに軸足をより静謐・神秘方面に傾けさらにそこに70年代ヴァーティゴ系のくすんだオルガン・ロック風味を加味した作風。また、これまでも曲中で経過的には使用されていたメジャー・コードを楽曲の印象を決めるラストで使用するなど、斬新とも言える変化が見て取れる。アルバムの基準を測る上で重要なオープニング・チューン#1のボーカル第一声がメロウなコーラスというのも意表を突いており、ミカエル・オーカーフェルトからすると「してやったり」というところだろう。
ペル・ヴィバリの頃よりも歪み度を幾分下げたヨアキム・スヴァルベリ(Key)のオルガンは、グリッサンドを多用するロックでダイナミックな前任者よりもむしろCRESSIDA寄りと言っても良いくらい堅実かつ多彩なプレイ・スタイルで音楽性の変化に対応。
ミックスはかつてのOPETH作品でも制作に関わった、ユニットSTORM CORROSIONでのミカエルの僚友スティーヴン・ウィルソンが担当。KING CRIMSONやYESなどのリミックス・ワークを通じてプログレ界レジェンド達の奥儀に触れたスティーヴンの起用も今作の方向性にマッチしている。
ジャケット・アートは勿論トラヴィス・スミス

Opeth - Cusp Of Eternity





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タグリスト: プログレ  ヘヴィ・メタル  北欧  2010年代  メロトロン  トラヴィス・スミス 

 

投稿者: 2014-08-22-Fri

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